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社会人が中国留学した場合の国民年金の扱いについて見てみましょう。
会社に勤めている期間、国民年金保険料は給与から天引きされて支払われています。中国留学に伴い退職した場合、国民年金保険料は自分で支払う必要があります。
住民票を残したまま中国に留学する場合、国民年金保険料は支払義務があります。国民年金保険料は月額14,660円です。口座振替を利用すると月額50円の割引になります。手続きは役場の国民年金窓口で行います。
海外転出届をした場合、国民年金保険料の支払義務は発生しません。中国留学中に保険料を支払う必要はなくなります。しかしこの場合、後述しますが老後の年金受取額が減少します。これを防ぐために、海外転出届をした場合でも国民年金に任意加入し、国民年金保険料を支払うことが可能です。
国民年金には3種類あり、65歳以降に受取る年金を老齢基礎年金といいます。一般に年金と呼ばれるものがこれです。
国民年金保険料は20歳から60歳までの40年間が支払い期間です。この40年間のうち、通算25年以上国民年金保険料を支払った場合、老齢基礎年金を受給することが可能となります。25年未満の場合、老齢基礎年金を受取ることはできません。
また、老齢基礎年金の受給額は40年満期のすべてを支払った場合、年額792,100円です。国民年金保険料の支払期間が40年未満の場合、受給できる老齢基礎年金は減額されます。
具体的に見てみましょう。
22歳で就職した人が63歳で定年退職したとします。この場合、国民年金保険料の支払期間は22歳から60歳までの38年間です。したがって、受給できる老齢基礎年金は満額792,100円の40分の38、752,495円になります。(注:60歳以降に国民年金に任意加入し、2年分を支払うことで、満額受給することも可能です。)
では次に、中国に留学した場合を見てみましょう。
22歳で就職し、30歳で中国に留学、留学終了後に中国で就職し、46歳で帰国して日本で再就職、63歳で定年退職したとします。
中国に留学する際に海外転出届をし、同時に国民年金に任意加入し、中国にいる16年間も国民年金保険料を支払った場合、支払期間はトータル38年になります。
老齢基礎年金の支払要件である25年をクリアしているので、老齢基礎年金を受給することができます。支払期間は38年ですので、受取ることができる老齢基礎年金は、満額の40分の38、1年間に752,495円となります。
中国に留学する際に海外転出届をし、国民年金に任意加入しなかった場合、海外にいる期間は支払要件の25年にカウントされます。これをカラ期間といいます。カラ期間は25年にはカウントされますが、老齢基礎年金の受給額には反映されません。
具体的に説明すると、中国にいる16年間はカラ期間としてカウントされます。8+16+14で、支払い見なし期間が38年になります。25年を超えているので、老齢基礎年金は受給できることになります。
しかし、実際に国民年金保険料を支払ったのは22年間だけです。このため、満額の40分の22、435,655円が年間に受取れる老齢基礎年金となります。
なお、カラ期間を証明する資料は、出入国時のスタンプが押されたパスポートとなります。ですので、海外転出届をして国民年金に任意加入しない場合は、パスポートを捨てずに保管しておく必要があります。
また、国民年金には老齢基礎年金のほかに障害基礎年金と遺族基礎年金があります。海外転出届をして国民年金に任意加入せずに中国に留学し、留学中に障害を負ったり死亡した場合は、障害基礎年金、遺族基礎年金は支給されません。
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